エジプトの考古学 (世界の考古学)



エジプトの考古学 (世界の考古学)

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硬派好みの古代エジプト通史。内容の深さはナンバーワン。

 同成社の「世界の考古学」シリーズ第4巻。

 著者の近藤二郎先生(早稲田大学エジプト学研究所助教授)は,わが国でトップの古代エジプト学者であろうと思う。その碩学の筆になる古代エジプトの通史は,12のトピックスに分けて古代エジプトの先王朝時代から第3中間期までの歴史を扱っている。吉村作治教授の数々の著作とはまた違った個性をもった,硬派好みの記述であるが,その筆致は簡潔で読みやすい。古代エジプトの歴史を扱った日本人による概説書としては,その内容の深さにおいて現時点ではナンバーワンであると思う。このような本が日本人によって執筆されたこと自体,快挙ではないだろうか。本書「はじめに」で著者も述べているように,「古代エジプト関係でも,ピラミッドやツタンカーメン!について書かれているものは多くあるのに対し,エジプト考古学の初歩的な概説書でさえ,ほとんど存在していないことが今日の現状」なのである。

 著者も「焦点を自分なりに絞り込むことができなかった」ため「今後の課題として残る」としているが,末期王朝時代やグレコ・ローマン時代の歴史が取り上げられていないのは残念である。いつの日か,増補が実現することを期待するものである。



同成社
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